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- ミミカイツブリ(Podiceps auritus auritus)について

ミミカイツブリ(Podiceps auritus auritus)
- 【 学名 】
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Podiceps auritus auritus (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 分布
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全北区。ユーラシア大陸から北アメリカ大陸まで、北半球の亜寒帯地方を中心に広く分布し、冬は温帯に南下し、大きな湖や沿岸ですごす。
日本には冬鳥または旅鳥として沖縄県以北に渡米するが、かずは少ない。
参考文献
最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雌雄夏羽】
額・頭上・後頭・耳羽・顔・腮・喉は黒色で、後頭の羽毛は羽冠形に多少延びている。
眼の上から後頭まで赤褐色の線が走り、その後端の部分の羽は羽冠形に長い。
下嘴の基部から眼までの線様の皮膚の裸出部は赤色である。下喉・前頸・頸側は赤褐色、後頸は褐色である。
肩羽・背は黒色で、各羽には褐色の細い羽縁がある。
胸・腹・下尾筒は絹様光沢のある白色、脇は赤褐色で、灰色と黒色とを帯びている。
肛門の付近までの羽毛は灰色を帯びている。腰と上尾筒は黒色、下雨覆は白色である。
初列風切は黒褐色で、内弁は淡褐色、羽軸は黒色である。次列風切は白色で、内側のものと三列風切は黒褐色である。
大、中、小雨覆・初列雨覆・小翼羽は黒褐色である。尾も黒褐色である。
嘴色は黒色、先端と基部は青色、虹彩は赤色または紅色、脚色は跗蹠の外側は緑色を帯びた石盤黒色、内側は青灰色。
【冬羽】
額・頭上・後頭は黒色、耳羽・腮・喉は白色、前頸は淡灰褐色を帯びた白色、頸側は白色、後頸は白色で各羽の先端は黒色である。
体の上面は黒色で、肩羽と背の各羽には褐色の縁がある。
体の下面は光沢のある白色で、脇の各羽の先端には黒灰褐色の縁がある。嘴色は淡色の角色、虹彩は赤色。
参考文献
最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が生え、色彩はカンムリカイツブリの雛に酷似しているが、腮と頭部の淡色縦線は淡黄褐色を帯び、頸と体の上面の淡色の縦線はカンムリカイツブリの雛より幅が狭くて灰白色である。
全体にカンムリカイツブリの雛より黒色勝ちであり、縦斑が幅狭くて明瞭で、アカエリカイツブリの雛の様に不明瞭でない。
上嘴には黒色の横帯が2つある。
【幼鳥】
成鳥の各羽に類似するが、体の上面は黒褐色である。
参考文献
最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
生態
- 特徴的な行動
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北ヨーロッパでの繁殖期は5~9月、年に1~2回、一夫一妻で繁殖する。水草が密生した水辺の浅瀬に、雌雄共同で浮巣をつくる。
1巣卵数は4~5個、雌雄交替で22~25日抱卵する(Cramp & Simmons, 1977)。
抱卵期に巣を離れるとき、卵を水草で覆う。雌雄共同で育雛し、雛が独立するまでに55~60日を要する(Cramp & Simmons, 1977)。
参考文献
最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ
- その他生態
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番の形成は繁殖地でのなわばり獲得前、また、早いものでは越冬地で行われる(Cramp & Simmons, 1977)。
眼の後ろにあるオレンジ色の飾り羽は求愛時の儀式的行動に使われる。
また、雌雄が水面で背を伸ばして並列し、互いにくちばしに水草をくわえて誇示しあう。
繁殖地では番がなわばりを構えて分散するが、まれにルーズコロニーを形成することがある(Cramp & Simmons, 1977)。
越冬地では、単独ないしは数羽でいることが多いが、10~40羽ぐらいの群れの記録もある。
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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ