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コオバシギ(Calidris canutus)の分類 シギ科(Scolopacidae)
コオバシギ(Calidris canutus)の概要 オバシギ属(Calidris)

コオバシギ(Calidris canutus)

近危急種 (NT or LR/nt)

【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Calidris canutus (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:31~32 mm
・翼長:150~175 mm
・跗蹠:29~31 mm
・尾長:54~65 mm
・体重:82~142 g
・卵:長径 40~44.5 mm×短径 29~31.7 mm  平均長径 42.8×短径 29.9 mm

参考文献

最終更新日:2020-07-17 キノボリトカゲ

分布

全北区。ユーラシア大陸、北アメリカ大陸、グリーンランドなどの環極地方に点々と不連続に繁殖分布し、冬は赤道周辺に広範囲に広がってすごす。

日本には旅鳥として全土に現れるが、多くはない。秋は8~9月、春は4~5月に見られる。

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分類学的位置付け

シギ科

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形態

成鳥の形質

【雄夏羽】
額・頭上・後頭・後頸は赤錆色で、各羽には黒色の軸斑があり、後頸の羽は所々白色を帯びている。

眼先から眼の上まで黒色に褐白色の小斑点が散在した幅の広い眉斑がある。

頸・腮・喉は暗赤錆色であるが、ときには白色斑が散在しているものもある。

背は黒色で、各羽には灰白色の縁があり、羽縁近くには同色の斑があり、一部の羽は灰褐色または暗赤錆色の縁をもっている。

肩羽は背に類似しているが、その縁の幅が広く縁の両側には淡赤錆色の大きな斑がある。

胸は暗赤錆色であるが、白色の羽を混じている。腹・下尾筒は白色。腰は黒褐色で、各羽には白色の縁がある。

上尾筒は白色で、黒色の横縞があり、一部は赤錆色を帯びている。

下雨覆は黒褐色、白色の縁があり、中央の部分は白色である。初列雨覆の下部は灰鼠色で、白色の縁がある。

初列風切は黒褐色で、内弁の基部近くには白色の縁がある。

次列風切は黒色で外弁には白色の縁があるが、内弁は色が淡く、羽軸は白色である。三列風切は背と同様である。

大・中・小雨覆は黒褐色で、赤錆色の縁がある。初列雨覆・小翼羽は黒色で、先端は白色である。

尾は灰褐色で、先端は白色、羽軸も白色である。嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は黒色。

【雌夏羽】
雄夏羽に類似するが、体の下面には白色の羽が多い。

【雄雌冬羽】
額・頭上・後頭・後頸は灰鼠色で、各羽には黒色の軸斑がある。背・肩羽は灰鼠色で黒色の軸斑がある。

腰は灰鼠色で、羽端には黒色と白色の縁がある。上尾筒は白色で、黒色の横縞と黒色の矢筈形の斑紋があり、基部は灰色である。

体の下面は白色であるが、頸側には褐色の小縦斑があり、喉・上胸・脇には黒褐色の斑紋がある。

雨覆羽は灰褐色で、暗色の軸斑と白色の細い縁とがある。翼と尾は春羽と同様である。

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最終更新日:2020-07-17 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、頭上、背以下の体の上面は黒褐色と赤錆色を帯びた淡黄褐色で大理石様の斑紋をなしクリーム色の斑が散在する。

前頭はクリーム色で褐色の不規則な頭央線が走り、後頸は灰白色で各綿羽の基部は黒色を帯びている。

耳羽と頬はクリーム白色で、黒褐色と赤錆色を帯びた淡黄褐色の不規則な斑点と斑紋がある。

喉・胸は白色で、クリーム淡黄褐色を帯び、それ以下の体の下面は白色で、脇は灰白色である。

【幼鳥】
体の上面は灰褐色であるが、やや黄味がかった赤錆色を帯びている。頭上は白く、黒色と褐白色の斑紋がある。

背・肩羽の各羽にはクリーム色の縁があり、これに平行して黒褐色の線になった斑がある。

体の下面は白色であるが、やや黄味がかった赤錆色を帯びている。

頸側・喉・上胸・脇には淡灰褐色の小縦斑であるが、腮は無斑である。

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卵の形質

卵は緑灰色または黄灰色の地に暗チョコレート色の粗大な斑紋と斑点および青灰色の斑点とが散在する。

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生態

生息環境

渡り期には海岸砂浜の波打ち際、河口部の砂泥地、干潟などの平坦な泥地で見られる。

繁殖地は乾いた高地のツンドラで、ヤナギ類などの矮性灌木や草が疎らに散在する場所にすむ。

山麓の水はけのよいスロープで、海岸から 数 kmも入った標高 150~250 mぐらいのところを好む。

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食性

水に浸かる砂泥地で、くちばしを入れて探りながら双翅類、鞘翅類などの昆虫の幼虫・成虫、青虫、小さい二枚貝、小さい甲殻類、ミミズなどを食べる。

動物が欠乏する時期には草の種子などを食べる。

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鳴き声

ホィッ、ホィッまたはチュイッ、チュイッ、あるいはウィッ、ウィッなどと啼く。

群棲するときには互いに喧しく啼き合うのが常である。

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特徴的な行動

繁殖期は6~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は、泥や水に囲まれた小丘につくるが、砂利地でも見られ、地上の窪みに草や蘚類の破片を敷く。

1巣卵数は3~4個で、普通は4個である。両親が抱卵するが、大部分は雄が行う。

早成性で離巣性の雛は21~22日ぐらいで孵化する。雄が抱雛や世話を行い、18日ぐらいで去る。雛はさらに数週間はとどまる。

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その他生態

非繁殖期には5~100羽の群れですごす。繁殖地では雄のフライトディスプレイが見られ、20~160 mの上空ではばたき上昇と滑空下降を繰り返す。

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種・分類一覧