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- ハマシギ(Calidris alpina)について

ハマシギ(Calidris alpina)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Calidris alpina (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:雄 30~35 mm 雌 34~42 mm
・翼長:雄 113~123 mm 雌 120~128 mm
・跗蹠:24~29.5 mm
・尾長:50~60 mm
・体重:37~88 g
・卵:長径 37.6 mm×短径 26.2 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北極圏に繁殖分布し、冬は地中海地域、アフリカ大陸、ペルシャ湾、インド、中国東部、北アメリカ大陸南部などに渡ってすごす。
日本には旅鳥として、8~10月ごろと4~5月ごろに現れる。最もふつうに見られるシギで、渡来数も多い。
北海道から南西諸島に至る各地の海岸や内陸の河川で少数が越冬する。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雌雄同色。夏羽の頭頂と上面は赤褐色で、肩羽には黒色の軸斑があり、頸から胸には黒色の縦斑、腹には黒色の大斑がある。
冬羽の上面は灰色で、下面は白色。飛翔時には白い翼帯がでる。
嘴は黒色で長く、すこし下に曲がる。足は黒色。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は全身に幼綿羽が密生し、額は黄味がかったクリーム色、頭上及び背以下の体の上面は黒色、褐色、クリーム黄色などの斑が混在し、額から後頭迄黒褐色の頭央線が走っている。
眼の上にはクリーム黄色の眉斑が走り、眼先から後頸まで黒褐色の過眼線が走っている。
後頸は暗色で、各綿羽の先端は黄金色を帯びている。
耳羽、頬、頸側はクリーム黄色で、それ以下は白色を呈し、胸はクリーム色を帯びている。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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渡り期や越冬地では、海岸の砂浜、干潟、水溜り、潟湖、溜池、水を張った水田、内陸の湖沼や大きい河川の砂泥地などに現れる。
繁殖地では、草原ツンドラや泥炭草原ツンドラなどの湿性の草原にすみ、小丘状の乾いた部分で営巣し、水につかるところで採食する。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 食性
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砂泥地の薄くフィルム状に水につかるところを気忙しく歩き回って、水生昆虫の幼虫、ミミズ、ゴカイ、ヨコエビなどの甲殻類を食べる。
単に表面からついばんだり、泥の中にくちばしを差し込んで探るようにしてとり出したりする。
しばしば、湿った泥の表面をくちばしの先で打診するように細かく叩き、ユスリカなどの動きを察知してついばむ。
泥の表面に、よくくちばしの先のプリントを残すシギである。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖するが、同時的一夫二妻、継続的一妻多夫などの記録がある(Cramp & Simmons, 1983)。
巣は、草や灌木の根元に浅い窪みをつくり、枯れ草や蘚類を敷く。
1巣卵数は3~4個で、4個の場合が多い。雌雄交替で抱卵し、主として雄が日中を、雌が夜間を担当する。
早成性の離巣性で、雛は22日ぐらいで孵化し、両親の世話で育ち、18~20日ぐらいで独立する(Cramp & Simmons, 1983)。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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餌を漁るときにはチューイ、チューイまたはチュリッ、チュリッと小声で啼き、警戒時にはピルーまたはチュリィーと啼く。
ときにはピュリーイゥと啼き、飛翔中にも啼き、蕃殖期にはジュク―、ジュク―と後を長く引いて啼き、空で誇示(ディスプレー)をしつつ啼く。
雛に警戒を与えるときにはビール、ビールと啼く。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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非繁殖期には群れで生活する。
密集した群れで見事な飛翔を行い、低く飛ぶときには群れは平板状に広がり、上昇するときにはボール状に集まる。
急旋回を行い、その度に群れ全員が同調的に腹面になったり、裏返しに背面を出したりして、群れの輝きを変える。
これは、タカ類の襲撃に対する目くらましとなる。
とくに春の渡りは大群となり、数千、数万羽にもなる。
繁殖地ではなわばり分散するが、なわばりがルーズに集まっていることが多い。
低密度では 1 ㎢あたり1~2番ぐらい、高密度では19番ぐらいになる(Cramp & Simmons, 1983)。
なわばりは 0.05~0.07 ㎢ぐらいで、求愛や営巣のために使われ、雛が孵化するとなくなる。
雄はなわばりの上でフライトディスプレイを行う。
地上 10~50 mまで斜めに上昇した後、ホバリングを行い、はばたきを止めて、滑空による下降と翼振動による上昇を交互に行いながら、ジュリー、ジュリーとさえずって旋回する(スイッチバックフライトとよばれる、Cramp & Simmons, 1983)。
これは隣り合う雄どうしが同時に行ったり、なわばりから 1 ㎞ぐらい離れることがあり、到着してから番の形成がなされるまでの間にピークがある。
また、求愛のため雌をよびながら雄が行うシギ類共通のスクレイピングディスプレイがある。
参考文献
最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ