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- クロアジサシ(Anous stolidus)について

クロアジサシ(Anous stolidus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Anous stolidus (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:37~41 mm
・翼長:260~283 mm
・跗蹠:22~25 mm
・尾長:145~165 mm
・卵:長径 49.5~55.2 mm×短径 34.8~37.2 mm 平均長径 51.8 mm×短径 35.8 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 分布
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世界中の熱帯・亜熱帯の島や沿岸で局地的に繁殖分布する。
日本では、八重山諸島の仲ノ神島、尖閣諸島、小笠原諸島の母島・父島・西ノ島、北硫黄島、南鳥島などに夏鳥として渡来し、繁殖する。
繁殖地以外では、北海道、本州、九州に迷行した記録がある。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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額と頭頂が白く後頭は灰褐色のほかは、全身が黒褐色。眼の下に弧形の白斑がある。
尾はアジサシ属と異なり、先が2つに分かれた楔形。足は黒褐色。
嘴は黒く、クロアジサシ属で最も頑丈。若鳥は褐色で、頭の白色部を欠く。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵は灰色、クリーム色、淡紅色、淡青色などの地に暗赤褐色の粗大な斑紋と斑点及び灰紫色の斑点とが散在し、斑点や斑紋は鈍端の方に密在するのが常である。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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海岸、洋上で生活するアジサシ類で、島嶼の海岸や岩礁、低木が疎らに生育するところで集団繁殖し、島の周囲の比較的波の静かなところに多い。
岩場にも下りるが、歩くことは苦手で、岩の上で休息している。
水に浮くのが得意で、水面に浮いて休むこともある。
セグロアジサシと混生するコロニーをつくることがあるが、セグロアジサシが主に沖合で採餌するのに対し、本種は繁殖地の比較的近くの海で餌を採る。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 食性
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海岸や海洋の低空をヒラヒラとはばたいて飛び回り、獲物を見つけると水面に斜めに舞い下り、海の表層にいる魚やイカなどをついばむ。
水面にちょっとつかり、ウミツバメ類のように水面を脚でバタバタと走ることがある。
尾羽を広げて翼をバタバタと激しくはばたかせる停空飛翔を行いながら餌に狙いをつけることもある。
餌を丸呑みして集団繁殖地にもち帰り、吐きもどして雛に与える。数十羽の群れで採食することが多い。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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南西諸島では4~8月、年に1回、一夫一妻で繁殖するが、小笠原諸島の西之島では1月と6~7月に2回産卵する(倉田・金子, 1982)。
地上や崖の岩棚などに、直接、または小石やサンゴのかけらを敷いて産卵するが、低木の枝の上に枯れ草や海藻で浅い皿形の巣をつくることもあるという。
1巣卵数は1個、32~35日雌雄交替で抱卵する(清棲, 1978)。雛は早成性で、孵化後数日で巣を離れる。
雛は昼夜ともに給餌されるため、仲ノ神島では孵化後約50日で巣立ち、同所的に繁殖して昼間にしか雛に給餌しないセグロアジサシより育雛期間は10日ほど短い(河野, 1991b)。
8月下旬になると幼鳥は飛び立つ行動を繰り返し、飛翔力がつくと沖合に出るようになる。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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クヮッ、クヮッまたはグァオ、グァォと啼き叫ぶ様な声で啼き、飛翔しつつ啼くことが多い。ときには細い声でピリッ、ピリッと啼くこともある。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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仲ノ神島では、3月ごろ繁殖地の沖合に帯状になって大群で浮遊し、集結する(河野ほか, 1986)。
大集団になるといっせいに営巣地に上がり、コロニーをつくって繁殖する。
番は巣とそのごく周辺をなわばりとして防衛する。コロニー内では、各番の繁殖の進行は比較的同調している。
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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ