- 解説一覧
- コアカゲラ(Dendrocopos minor)について

コアカゲラ(Dendrocopos minor)
- 【 学名 】
-
Dendrocopos minor (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 分布
-
旧北区。ユーラシア大陸の中緯度地方に分布する。日本では北海道のみに留鳥として生息するが、個体数は多くなく、主として大雪・日高山系より北部と東部でみられる。
参考文献
最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
-
【雄】
額は白色で、前額は暗褐色を帯びている。頭上、後頭は紅色、各羽の基部は黒色で、先端は紅色、その中間は白色である。
この黒色部と白色部とはところどころ紅色の羽端の間から見えている。
眼の上に黒色の幅の狭い眉斑があり、眼先は褐色を帯びた白色、眼の後方には白色の斑がある。
後頭の両側と後頭とは黒色、頸側は白色である。
耳羽は鞣皮のような淡黄褐色、下嘴の基から後方へ耳羽の下にそって黒色の頬線が走り胸側まで達している。
腮、喉、胸、腹、脇、下尾筒などは白色でやや鞣皮のような淡黄褐色を帯びている。
胸側の各羽には黒色の軸斑があり、脇の各羽には黒色または褐色の幅の狭い軸斑がある。
下尾筒の各羽には黒色の小軸斑がある。
翕は黒色、背、肩羽、腰は白色で、黒色の横縞があるが、各羽の基部は石盤色である。
上尾筒は黒色。下雨覆、腋羽は腹と同様である。
翼は黒色で、初列風切の第1、第2羽は内弁の基部近くだけに白色の斑が横縞のようになってある。
ほかのものは内外弁の基半部に同様の斑がある。次列風切、三列風切、大雨覆は内外弁に同様の斑がある。
中雨覆は羽端近くに白色の斑がある。尾は中央の2対は黒色である。
最外側の尾羽は、やや褐色を帯びた白色で、基部は黒色、先端近くに黒色の横縞がある。
次のものもやや褐色を帯びた白色で、内弁の基半部と外弁の基部とは黒色、先端近くには黒色の横縞が2つばかりある。
その次のものは黒色で、外弁の前半部と内弁の先端とは白色である。
嘴毛は暗褐色で、羽軸は白色、嘴色は鉛色。虹彩は赤褐色、脚色は鉛灰色、脛羽は暗褐色。
【雌】
頭上、後頭は雄のように紅色でなく黒色である。ほかは雄と同様である。
参考文献
最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
-
枯死木が散在する落葉広葉樹林、ヤナギ類やポプラ類の河辺林、古い木の多い果樹園などにすむ。
北海道の十勝地方では、公園の林や周辺の人家の庭木にも現れる。
参考文献
最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ
- 食性
-
樹幹や枝の表面からつまみ上げたり、つついたりして採食するが、むしろ小枝や葉で採食し、しばしば藪の小枝や蔓、ときには枯れ草の茎などをつつく。
甲虫の幼虫をほじくりだしたり、ほかの昆虫の幼虫をつまみとったりする。
アブラムシ類やアリ類なども盛んに食べる。
参考文献
最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
-
繁殖期は5~6月、一夫一妻で繁殖する。番の形成は2月ごろから始まる。
巣は枯れ木に雌雄共同で樹洞を掘って作り、入口の直径は 3~3.5 cmぐらい、深さ 25~30 cmぐらいで、広葉樹の枯死木であることが多い。
1巣卵数は3~7個、抱卵は日中は雌雄交替で、夜間は雄が行い、11~14日で孵化する。
雛は両親に養われて18~23日で巣立つ。
参考文献
最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ
- その他生態
-
単独か番ですごす。強いなわばりをもって分散する。
2月下旬に番の形成にかかわる追いかけや、樹幹に向き合って止まるディスプレイが見られ、3月上旬からドラミングが聞かれる(河田, 1980)。
ドラミングは短く繰り返すものでコゲラに似ている。雌も行うが少ない。
参考文献
最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ