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ハマヒバリ(Eremophila alpestris)の分類 ヒバリ科(Alaudidae)
ハマヒバリ(Eremophila alpestris)の概要 ハマヒバリ属(Eremophila)

ハマヒバリ(Eremophila alpestris)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Eremophila alpestris (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:9~12 mm
・翼長:98~114 mm
・跗蹠:20~23 mm
・尾長:63~85 mm
・体重:23~37 g

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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ

分布

全北区。スカンジナビア半島、シベリア、北アフリカ、中央アジア、中近東などの乾燥地帯で繁殖する。

本種はヒバリ科のなかでアメリカ大陸まで進出した唯一の種で、北アメリカ大陸では北極圏からメキシコまで広く分布する。

日本に渡来することが確認されている別亜種は、ユーラシア大陸の高緯度地方で繁殖するもので、冬に南下するものの、一部がまれな旅鳥または冬鳥として渡来する。

北海道、新潟、長野、石川、千葉、神奈川、愛知、静岡、滋賀、島根、長崎などの各道県で観察の記録がある。

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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ヒバリ科

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形態

成鳥の形質

【雄】
頭上・後頭は灰薔薇色で、後頭の各羽には灰褐色の羽縁がある。

鼻孔の上の羽、眼先、耳羽の前方の羽、前頭は黒色で、冬期は前頭の各羽縁は黄褐色である。

頭側は黒色で、頭側の後端の羽毛は角のように細長く延びている。

額・眉斑・耳羽の後方の羽・腮・喉・頸側は硫黄様の淡黄色である。

背・肩羽は褐色で、暗色の不明瞭な軸斑があり、羽縁は灰薔薇色である。

上胸には黒色の幅の広い帯があり、この帯の下方は白色で、各羽縁は灰色であるため、数条の細い帯をなしている。

下胸・腹・下尾筒は白色、脇・腰・上尾筒は灰薔薇色で、脇には暗褐色の軸斑があり、上尾筒には灰白色の縁がある。

風切羽は暗褐色で、初列風切・次列風切には外縁に灰薔薇色を帯びた灰白色の細い縁と羽端に褐色を帯びた白色の縁とがある。

三列風切には外縁に灰薔薇色を帯びた灰白色の羽縁があり、大雨覆は暗褐色で、淡褐色の羽縁と白色の羽端縁とがある。

中雨覆は暗褐色で、基部は黒褐色、羽端は灰白色である。

小雨覆は灰薔薇色、初列雨覆・小翼羽は暗褐色で、羽縁は灰薔薇色を帯びた灰白色である。

尾は中央の1対は淡褐色で、軸に沿った部分だけ白色である。

嘴色は灰角色で、上嘴の尖端は黒色、下嘴の基部はやや黄色を帯びている。虹彩は褐色、脚色は黒色、脛羽は褐色を帯びた白色。

【雌】
腮・喉・頸側は黄白色、頭側の角形に延びた羽は短い。背には黒褐色の明瞭な軸斑がある。

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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、淡黄褐色の長い初毛が眼の上、後頭、背、上膊、前膊、腿、脛などの羽域に生えている。

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卵の形質

卵は緑白色、黄灰色などの地に黄褐色と灰鼠色の微細な小斑点が一面に密在するのが常で、ときには粗大な斑点や暗色の輪などがあり、稀には黒色の毛の様な細線がある。

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生態

生息環境

海岸の埋立地、干拓地の荒れ地、砂丘地帯、草がまばらな砂浜などに現れる。

1977年10月に神奈川県相模川の河口で観察された例では、同じ場所に13日滞在し、河口部の両岸の砂浜を往復していた(浜口, 1985)。

繁殖地では、乾燥した荒原、砂地、砂礫地、ツンドラなどに生息し、冬は海岸、畑、休閑地、海岸近くの荒れ地などに生息する(Cramp, 1988)。

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食性

地上性で、行動はヒバリに似ており、両脚を交互に動かして歩き、地上でメヒシバなどの草の実をついばむ。

警戒性が強く、なかなか接近できない。繁殖期には昆虫、非繁殖期には植物の種子を食べる。

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鳴き声

チッ、チッと地鳴きし、繁殖期には地上または岩上で囀り、時折り空に舞い上がって、高空で高く低く昇り降りし、舞い降りる前まで囀り続けるのが常である。囀声はヒバリの声にやや似ている。

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特徴的な行動

産卵期は5~6月、一夫一妻で繁殖する。スカンジナビア半島の調査では、1年に2回繁殖することもある(Cramp, 1988)。

ヒバリと同様、巣づくりは雌だけが行い、枯れ草の茎、葉を主材にして椀形の巣を地上につくる。

巣の外側には小石、泥炭の小塊などを並べる。

巣づくり期間中、雄はまったく巣材運搬に関与せず、雌の後を追従するだけで、おそらく配偶者防衛行動をしているものと考えられる。

1巣卵数は2~4個、1日1卵ずつ早朝に産卵し、雌だけが抱卵し、抱卵日数は10~11日(Cramp, 1988)。

孵化後約1週間は雌が抱雛するが、育雛は雌雄とも行い、雛は9~12日で巣立つ。

雛に対する雄と雌の給餌頻度はほぼ等しい。雛が飛べるようになるには孵化後16~18日を要する(Cramp, 1988)。

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最終更新日:2020-07-10 キノボリトカゲ

その他生態

雄は雌より早く繁殖地に渡来し、飛翔しながら空中でさえずる空中ディスプレイを繰り返してなわばりを確立する(Cramp, 1988)。

雄のさえずりには、ヒバリと同様に空中さえずりと地上さえずりがあり、これらのさえずりは抱卵期まで継続される。

渡来初期には雄だけの小群をつくることもある。

なわばり確率後、一夫一妻の番を形成する。番の絆は強く、どちらか一方が死なない限り番の相手を変えない(Cramp, 1988)。

非繁殖期または渡りの時期には、200羽以上の群れを形成することもあるが、通常は10~20羽の群れで生活する(Cramp, 1988)。

日本では、1羽または2.3羽の小群で見られることが多い(例えば、Brazil & Cook, 1991)。

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