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- カワガラス(Cinclus pallasii)について

カワガラス(Cinclus pallasii)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Cinclus pallasii Temminck, 1820
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:18~24 mm
・翼長:94~107 mm
・跗蹠:28~34 mm
・尾長:58~72 mm
・卵:長径 25~30.5 mm×短径 17.5~21 mm 平均長径 27.9 mm×短径 19.5 mm 重量 4.6~5.4 g位
参考文献
最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区、東洋区。ユーラシア大陸東部のウスリーから中国東部を経て、タイ北部、ヒマラヤに分布する。
日本では北海道から本州、四国、九州、屋久島まで留鳥として繁殖する。
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形態
- 成鳥の形質
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雄雌同色。頭部はチョコレート褐色で、眼の上下に白色の小斑がある。
背、肩羽、腰、上尾筒、胸、脇、腹、下尾筒はチョコレート褐色である。
翼は黒褐色で、老成鳥や秋羽では風切羽は全体に石盤灰色を帯びている。
大、中、小雨覆の羽縁はチョコレート褐色である。下雨覆、腋羽はチョコレート褐色。
尾は黒褐色で、全体に石盤灰色を帯びている。
嘴色は鉛色を帯びた黒褐色、虹彩は黒褐色、脚色は鉛色を帯びた褐色、脛羽はチョコレート褐色。
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最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は肉食の裸体のままで、暗灰色の長くて豊富な初毛が眼の上、後頭、上膊、背などの羽域に生えている。
口中は橙黄色、口角縁は淡黄白色である。
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生態
- 生息環境
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低山帯から高山帯までの河川にすみ、川の上流部で岩や大きい礫の間を清流がぬって流れるところを好む。
川の下流部や河口部にはいないが、中流部の河原の発達した氾濫原には出てくる。
しばしば、コンクリートで固められた灌漑用水路にすみついて繁殖する。この用水路に沿って平地でも見られることがある。
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最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ
- 食性
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流水中の浅いところは歩いて採食し、深いところは潜って採食する。
しばしば水面を泳ぎながら首を水中に入れて覗き込み、餌を見つけると潜り込む。
水生昆虫、とくにトビケラ類、カワゲラ類、カゲロウ類などの幼虫を捕え、ときには小さい魚なども捕える。
トビケラ類の幼虫を巣からほじくり出したり、巣を背負って歩くものはくわえて上陸で壊す。
水中に潜る方法と、浅いところを歩いてついばむ方法では、要するにエネルギーにちがいがあると考えられ、前者の方が大きいだろうから、繁殖期には潜る方が多く、非繁殖期には歩いてついばむ方が多い(Eguchi. 1990)。
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最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は3~6月だが、九州では12月から翌年の4月(Eguchi. 1990)、北海道では4~6月(浅見・芳賀. 1983)とかなりのちがいがある。
本州中部で9月に育雛の記録がある。一般に巣づくりの開始は早く、九州で10月(江口. 1990)、北海道で4月(浅見・芳賀. 1983)である。
一夫一妻で繁殖する。巣は水辺近くの岩の割れ目や窪み、滝の裏側の岩の窪みにつくり、最近では橋げたの下や水門の隙間などの人工物にもつくる。
外装には大量のコケ類を使い、ドーム形で入り口は側面に開き、内装には枯れ草や枯れ葉を使う。
巣づくりは雌雄で行い、雌の方がいくぶん多い(羽田・腰原,1969 ; 江口 , 1990)。
1巣卵数は4~5個、抱卵は雌のみが行い、雄は巣の見えるところで監視する。
雛は17日ぐらい(浅見・芳賀. 1983)で孵化し、両親に養われて、22日ぐらいで巣立つ(浅見・芳賀. 1983)。
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- 鳴き声
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岩頭などにとまりピッ、ピッと啼きつつ体を上下に打ち振り、チチ―、ジョイ、ジョイ、ジョイと囀り続けるが、ときには小声でグゼリ様の美しい囀りを続けることもある。
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最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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なわばり防衛はコーリング、雄の脅しのディスプレイ、激しい追跡などが行われる。
冬は雄も雌も90%は単独でなわばりを分散をし(浅見・芳賀. 1983)、防衛行動も繁殖期と変わらない。
流れに沿って水面上を低く飛びながらピッと鳴いていくと、なわばり所有者はピッピッピッと連続音で叫び、通過個体はこれで所有者の存在を知るようで、激しい戦いや追いかけが起こる。
冬は上流から下ってくる個体があり、このような防衛行動が頻繁に見られる。
秋から初秋にかけて雄も雌もしきりにさえずり、番の形成のディスプレイが見られる。
巣内の雛はジョイ、ジョイ、ジョイと喧しく啼き立てて親鳥からの哺育を待ち受ける。雄雌ともに育雛する。
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最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ