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オオアジサシ(Thalasseus bergii)の分類 カモメ科(Laridae)
オオアジサシ(Thalasseus bergii)の概要 Thalasseus

オオアジサシ(Thalasseus bergii)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Thalasseus bergii (Lichtenstein, 1823)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:56~65 mm
・翼長:322~338 mm  
・跗蹠:27~30 mm
・尾長:162~189 mm
・卵:長径 51.5~66 mm×短径 38~44 mm 平均長径 58.7 mm×短径 41.8 mm

参考文献

最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

分布

インド洋と太平洋西部の熱帯・亜熱帯の海岸や岩礁に、コロニーをつくって繁殖する。大西洋には分布しない。

日本では奄美諸島、沖縄諸島、先島諸島、小笠原諸島、大東諸島などに夏鳥として渡来して繁殖するが、現在の繁殖状況はよくわかっていない。

希少種に指定されている。繁殖期には、その周辺の海上で見られる。

本州でも、主に秋に、まれに海岸や港湾で記録されるが、こうした個体は南方地域から台風によって運ばれてくる個体であると考えられる。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 アジサシ科

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形態

成鳥の形質

夏羽の額は白く、頭頂と後頭が黒く、後頭の羽毛は長くのびて冠羽状。

背・翼上面は亜種により灰白色・灰色・暗灰色、尾は深い燕尾で青灰色、頸から下面は白色。

嘴は太く頑丈で黄色。足は黒い。冬羽は頭頂が白っぽくなり、後頭は黒色。若鳥は頭頂に褐色斑があり、背と翼上面に淡褐色斑がでる。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

額、眼先、頭上は白色で、頭上の各羽には黒色の縦斑があり、後頭は黒色で、各羽には白色の縁があり各羽は長くて羽冠をなしている。

体の上面は白色で、黒色の班があり、翼は石盤黒色で、内弁には白色の縁がある。

体の下面は白色、尾には白色の縁がある。嘴色はオリーヴ緑色かまたはオリーヴ青色。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は純白色、灰白色、クリーム色、淡紅色、淡青白色などの地に褐色、赤褐色、紫褐色、黒褐色などの粗大な斑紋または斑点及び灰色の斑点とが散在し、ときには斑紋が雲形をなすものや赤褐色の地色のものもある。

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生態

生息環境

海岸、洋上で生活するアジサシ類で、島嶼の海岸や岩礁、砂浜、磯地で集団繁殖する。

繁殖地として、比較的広い砂地の海岸や平坦な岩場が広がる環境を好む。

地上にも下りるが、歩くことは苦手で、しばしば水上に突き出た棒くいなどに止まって休息する。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

食性

海岸や海洋の上空をヒラヒラとはばたいて飛び回り、獲物を見つけると上空から直角に急降下して海の表層にいる魚やイカを捕らえる。

また、尾羽を広げて翼をバタバタと激しくはばたく停空飛翔を行いながら餌に狙いをつける。

雛にも、魚類やイカなどの軟体動物を与える。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は5~8月、年に1回、一夫一妻で繁殖する。

砂浜に窪みをつくって巣としたり、岩礁の上に直接産卵するが、いずれの場合もふつうは巣材を使用しない。

1巣卵数は1~2個で、1個の場合が多い。25~30日雌雄交替で抱卵する(Cramp & Simmons, 1983)。

熱帯・亜熱帯に生息する海洋性アジサシ類に共通していえることだが、抱卵といっても実際にずっと卵を抱いて温めているわけではなく、日中の気温や地温が高温になると、親鳥は中腰になったり立ち上がって体や翼で日陰をつくり、卵をその日陰に置いて冷やすこともする。

雛は早成性で、孵化後2日で巣を離れる。雌雄共同で給餌し、雛は孵化後38~40日には飛べるようになる(Cramp & Simmons, 1983)。

まだ飛ぶことのできない雛が集まりクレイシ(cr-eche)とよばれる託児所を形成し、数の力によって安全を確保する。

餌をもち帰った親鳥たちが鳴きながら雛集団の上空を旋回すると、雛はすぐ自分の親鳥の鳴き声に応えて自分の存在を知らせる。

親は雛の声を手がかりに託児所の中から自分の雛を見つけ出して給餌する。

親鳥は巣立ち後、繁殖地を離れてもいっしょに飛び続け、雛の採食技術が完成するまで空中給餌をして世話をする。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

鳴き声

クヮッ、クヮッまたはクッリリーと高い声で啼き、主として飛翔中に啼く。

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特徴的な行動

コロニーをつくって繁殖する。

渡来した個体は営巣地にいきなり定着するわけではなく、その付近に集団塒を形成し、夕方になると海洋に散らばっていた仲間が集合して塒につくようになる(Cramp & Simmons, 1983)。

コロニーの大きさは場所や年によって異なるが、8000番にもなる場合がある。

番形成の際には、雄が雌に魚をプレゼントする求愛給餌が行われる。求愛給餌は、産卵前だけでなく抱卵初期まで行われる。

番となった雌雄は、巣を中心に狭いなわばりを構えて分散する。

高密度のコロニーでは、くちばしが届く範囲をなわばりとして防衛する。

コロニー内では、各番の繁殖の進行は比較的同調している。コロニーに外敵が近づくと集団で威嚇攻撃する。

非繁殖期も集合する個体数はまちまちだが、群れて生活することが多い。

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種・分類一覧