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オオセッカ(Locustella pryeri)の分類 センニュウ科(Locustellidae)
オオセッカ(Locustella pryeri)の概要 センニュウ属(Locustella)

オオセッカ(Locustella pryeri)

近危急種 (NT or LR/nt)

【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Locustella pryeri (Seebohm, 1884)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:9.5~13 mm
・翼長:雄 52~63 mm 雌 51~55 mm 
・跗蹠:17.5~21.5 mm
・尾長:51~63 mm
・卵:長径 18~19.5 mm×短径 14~14.5 mm 重量 11.3~15 g

参考文献

最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

分布

旧北区。当初、本種は日本特産種と考えられていたが、その後、中国東北部、上海、ウスリー・アムール川中流域の狭い地域にも生息することが発見された。

1884年に新種として発表されて以来およそ50年の間、断片的な記録があるだけで、分布や繁殖生態については不明な点が多かった。

近年、青森県の津軽半島、下北半島、秋田県八郎潟などに相当数の個体がいる繁殖地が発見され、1984年には千葉県の利根川の河川敷でも繁殖していることが明らかになった。

さらに、千葉県佐原市から茨城県神栖町あたりにかけての、利根川河川敷と隣接する水田に囲まれたヨシ原で繁殖が確認されており、霞ヶ浦に隣接する浮島草原でも夏の生息が確認されている(園部, 1992)。

冬は本州中部に移動する。名前の通りセッカ(セッカ属)よりも少し大きいが、分類上はセッカとは別のオオセッカ属に属する鳥である。

分布域が限られ、個体数も少ないため、危急種に指定されている。

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

亜種・品種

中国の黒竜江・遼寧・河北省などで繁殖し、湖北省で越冬する亜種 L. p. sinensis と、日本の青森・秋田・千葉県で繁殖し、千葉県で越冬する亜種 L. p. pryeri がいる。

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分類学的位置付け

スズメ目 ウグイス科

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形態

成鳥の形質

上面は茶褐色で、黒色縦斑がある。眉斑は不明瞭。下面は淡褐色で、喉・胸・腹中央は白色。

尾は長めで暗褐色。嘴は褐色で、足は黄色みのある肉色。

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生態

生息環境

イヌイ(ヒライ)、ヨシなどが密生する湿原に生息し、湿ったヨシ群落と草丈の低い乾燥した草地がモザイク状に入り混じる湿地帯を繁殖環境として好む(西出, 1982)。

巣の大部分は植物の群落と群落の境界付近につくる。

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食性

ヨシの枝を移動して昆虫を捕食し、採食地としてはヨシが疎らに生育する立地であることが条件となる(西出, 1975)。

雛に与える餌の種類は、メイガ類の成虫、コオロギ類の仔虫、ササキリ類の仔虫、クモ類の順で、そのうちメイガ類の成虫が全給餌量の64.3%と最も多い(西出, 1975)。

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

ライフサイクル

5月に繁殖地に渡来するが、繁殖期はオオヨシキリやコヨシキリに比べて遅い(西出, 1975)。

6~8月にかけて年に1回、一夫一妻で繁殖するが、一夫一多妻の可能性もある(竹谷, 1938a , 1938b ; 西出, 1975)。

巣はヨシの中(55%)、ススキの株の中(25%)、下草の中(20%)にあり、高さは地上から 10 ㎝程度のところにつくる傾向にある(西出, 1975)。

巣は、巣底より巣材を積み上げた鉢形、ウグイスに類似した楕円形、あるいは球形、の3つのタイプに類別され、いずれも粗雑なつくりをしている。

1巣卵数は5~6個で、平均5.3個、1日1卵ずつ産卵し、抱卵は最終卵産下の直後から始まり、抱卵日数は平均11.3日(西出, 1975)。

育雛は雌雄共同で行うが、給餌回数から見た雌雄の仕事量は雄23.3%に対して雌76.8%と雌のほうが多い(大八木, 1973 ; 西出, 1975)。

また、雌は給餌したりしなかったりと不安定な給餌パターンである。雛は孵化後、平均12,1日で巣立つ(西出, 1975)。

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鳴き声

雄は主として舞い上がるときに囀り、ヂュク、ヂュクと連続して4~10回緩やかに啼いたりまたはクルルルウと2~3回啼いたりした後でヂュヂク、ヂュヂク、ヂュヂクと早口に連続して囀り、草の葉先などにとまってヂュヂィロ、ヂュヂィロと緩慢に啼くが、舞降りるときには囀らないのが常である。

雌はヂュッ、ヂュッと低い濁音で啼き、警戒時にはピッ、ピッ、ピックルルルルウと啼く。雛はシーシーと低い声で啼く。

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特徴的な行動

繁殖期には番ごとになわばりをもって分散する。

雄はなわばりの中の草むらから舞い上がり、空中でチュルチュルチュルとかくクチュクチュクチュとさえずりながら、半円形を描いて舞い下りるさえずり飛翔を行いなわばりを宣言する。

越冬期の生活様式はほとんどわかっていない。

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

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